前島郁子1, 原太一2, 塚本智史3, 古泉博之4,5, 川内健史6, 阿久澤共子1, 平井里香1, 小林久江1, 磯部いの八1, 榎本和生4, 小迫英尊7, 佐藤健1,8* (1. 群馬大学生体調節研究所 細胞構造分野; 2. 早稲田大学人間科学学術院 健康福祉科学科 食品生命科学研究室; 3. 量子科学技術研究開発機構量子生命・医学部門 生物研究推進室; 4. 東京大学大学院理学系研究科 脳機能学研究室; 5. 奥羽大学薬学部 分子生物学分野; 6. 京都大学大学院医学研究科 生体環境応答学講座; 7. 徳島大学藤井節郎記念医科学センター 細胞情報学分野; 8. 群馬大学未来先端研究機構; * 責任著者)
概要
細胞構造分野の佐藤健教授、前島郁子助教らの研究グループは、徳島大学、東京大学、京都大学、奥羽大学、量子科学技術研究開発機構および早稲田大学との共同研究で、細胞内輸送システムの中心的制御因子であるRabファミリータンパク質（図１）の１つ Rab35が、マウスの脳における海馬形成とその機能に必須であることを明らかにしました（図２）。脳においてだけ Rab35を欠損させたマウスでは、海馬の神経細胞の配置に乱れが生じており、空間記憶能力の低下や不安を感じた時の行動パターンに変化がみられました。細胞内輸送システムの破綻は神経疾患の発症要因であることから、本研究成果によって細胞内輸送システムによる高次脳機能制御の一端が解明されたことで、神経変性疾患の病態解明に貢献することが期待されます。
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原著情報
Maejima I, Hara T, Tsukamoto S, Koizumi H, Kawauchi T, Akuzawa T, Hirai R, Kobayashi H, Isobe I, Emoto K, Kosako H, Sato K. RAB35 is required for murine hippocampal development and functions by regulating neuronal cell distribution. Commun Biol. 2023 Apr 21;6(1):440.
オンラインURL
https://www.nature.com/articles/s42003-023-04826-x
