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群馬大学 生体調節研究所

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受精卵に入った父親由来のミトコンドリアが速やかに見分けられ、除去される仕組みを発見

佐々木妙子1,2,櫛田康晴2,法月拓也1,小迫英尊3,佐藤健2*,佐藤美由紀1*(1.群馬大学・生体調節研究所・生体膜機能分野;2.群馬大学・生体調節研究所・細胞構造分野;3.徳島大学・先端酵素学研究所・藤井節郎記念医科学センター)

概要

ミトコンドリアは、細胞にエネルギーを供給する重要な細胞内小器官(オルガネラ)です。ミトコンドリアは、進化の初期に細菌が共生することで生じたと考えられており、その名残として、独自のDNAであるミトコンドリアDNAを持ちます。その遺伝様式は核DNAとは大きく異なり、片親(主に母親)からのみ遺伝します(母性(片親)遺伝)。私たちはこれまでにモデル生物である線虫を用いた研究から、精子由来の父性ミトコンドリアがオートファジー(自食作用)によって選択的に分解・除去されることが母性遺伝に必要であること、さらにその過程に働くALLO-1とIKKE-1を見出してきました。
今回私たちは生きた線虫の体内を動画撮影することで、受精直後に父性ミトコンドリアがオートファジーで食べられる様子を初めて詳細にとらえました。その結果、ALLO-1が父性ミトコンドリアを瞬時(受精後30秒以内)に識別し、父性ミトコンドリアへ集まることが分かりました。さらに、IKKE-1はALLO-1がより多く集まるのを助け、これらの働きが父性ミトコンドリアでオートファジーを開始させるのに必要であることが分かりました。こうした機構は、ヒトの細胞において機能低下した不良ミトコンドリアを除去する仕組みと類似していることも明らかとなりました。本研究により、母性遺伝の仕組みの一端が明らかになっただけでなく、ミトコンドリアを正常に維持する仕組みの解明にもつながることが期待されます。

 

プレスリリース資料はこちらをご覧になってください。

原著情報

Sasaki T, Kushida Y, Norizuki T, Kosako H, Sato K, Sato M. ALLO-1- and IKKE-1-dependent positive feedback mechanism promotes the initiation of paternal mitochondrial autophagy. Nature Communications 2024 Feb; 15:1460.
https://doi.org/10.1038/s41467-024-45863-2

オンラインURL

https://www.nature.com/articles/s41467-024-45863-2

研究室URL

http://makukinou.showa.gunma-u.ac.jp/index.html

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