• /

群馬大学 生体調節研究所

アクセス アクセス
  • HOME
  • 研究成果
  • 細胞構造分野
  • 多精子受精拒否の仕組みの一端を解明 ~なぜ卵母細胞(卵子)はただ1つの精子とのみ受精するのか~

多精子受精拒否の仕組みの一端を解明 ~なぜ卵母細胞(卵子)はただ1つの精子とのみ受精するのか~

川崎一郎1*、杉浦健太1*、佐々木妙子1,2、松田憲之3、 佐藤美由紀2* ‡、 佐藤健1 ‡(1. 群馬大学生体調節研究所細胞構造分野、2. 群馬大学生体調節研究所生体膜機能分野、3. 東京医科歯科大学難治疾患研究所、* 共同筆頭著者、‡ 共責任著者)

概要

私たちのような性を持つ生物のほとんどは卵母細胞(卵子)が1つの精子と受精することにより誕生します。しかしながら、多数の精子に取り囲まれた中で、1つ精子とのみ受精し、その他の精子を拒絶する仕組み(多精子拒否)についてはいまだ不明な点が多く残されています。今回、私たちは線虫 C. elegans を用いることにより、この早い段階で起こる多精拒否メカニズムの一端を明らかにしました。私たちは、線虫の卵母細胞内で働く MARC-3(ヒトではMARCH3という因子が類似)というタンパク質が欠損すると、通常は1つの精子とのみ受精する卵母細胞が、複数の精子と受精してしまうことを発見しました。この際、卵母細胞は1つ目の精子と受精してから約10秒以内に次の精子と受精してしまうことから、早期の多精拒否の仕組みに異常が生じていると考えられます。本研究によって、早期の多精拒否の仕組みの一端が明らかとなり、体内受精する動物において「なぜ卵母細胞(卵子)はただ1つの精子とのみ受精するのか?」という基本的な問いに答え、性を持つ生物の生命誕生の謎に迫ることが可能になると期待されます。

  

 

プレスリリース資料はこちらをご覧になってください。

原著情報

Kawasaki, I, Sugiura, K, Sasaki, T, Matsuda N, Sato M, Sato K. MARC-3, a membrane-associated ubiquitin ligase, is required for fast polyspermy block in Caenorhabditis elegans. Nat Commun 15, 792 (2024). https://doi.org/10.1038/s41467-024-44928-6

オンラインURL

https://doi.org/10.1038/s41467-024-44928-6

研究室URL

http://traffic.dept.med.gunma-u.ac.jp/

PAGE TOP