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群馬大学 生体調節研究所

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糖尿病の進展を止める膵β細胞を保護する治療方略

西山邦幸1、小野正人2、都野貴寛1、井上亮太1、福中彩子3、奥山朋子2、京原麻由2、富樫優2、福島説子1、渥美拓土4、佐藤葵1、鶴本明日香1、酒井智里4、藤谷与士夫3、寺内康夫2、伊藤秀一2、白川純12*(1.群馬大学生体調節研究所代謝疾患医科学分野、2.横浜市立大学医学部、3.群馬大学生体調節研究所分子糖代謝制御分野、4.群馬大学医学部医学科5年生、*責任著者)

概要

生体調節研究所の白川純教授らは、横浜市立大学との共同研究で、糖尿病発症早期からの薬剤併用療法が、2型糖尿病におけるインスリンを産生する膵β細胞の進行性減少を食い止める治療法になる可能性を示しました。

膵β細胞の量が減ることが糖尿病の発症・進展における重要な原因の1つとして知られています。そのため、血糖値を下げるだけでなく膵β細胞を保護する糖尿病治療法が求められています。2型糖尿病治療薬であるイメグリミンとメトホルミンは、血糖低下効果に加えて膵β細胞にも作用する可能性が知られています。本研究では、これら2つの薬剤を早期から併用することで、進行性の膵β細胞傷害を抑制できることが示されました。著明な肥満と高血糖を呈する2型糖尿病モデルマウスであるdb/dbマウスに糖尿病発症早期からイメグリミンとメトホルミンを併用することにより、単剤療法では認められない膵β細胞の機能回復や膵β細胞の細胞死(アポトーシス)の抑制を認め、膵島の遺伝子発現解析により想定される分子メカニズムが明らかにされました。またこれらの作用が、両薬剤の膵β細胞への直接作用を介していることも示されました。

本研究の成果は、今後、糖尿病患者さんの膵臓内で膵β細胞を保護することにより機能や量を保ち、糖尿病の進展を阻止できる治療へ応用されることが期待されます。本研究は、1型糖尿病の患者および家族によるNPO法人であるIDDMネットワークからの助成金および科研費、各財団助成金により行われました。

・雑誌名:Endocrinology誌(米国)
・公開日:2023年6月14日
・タイトル:”Protective effects of imeglimin and metformin combination therapy on β-cells in db/db male mice.”

 

 

原著情報

Kuniyuki Nishiyama, Masato Ono, Takahiro Tsuno, Ryota Inoue, Ayako Fukunaka, Tomoko Okuyama, Mayu Kyohara, Yu Togashi, Setsuko Fukushima, Takuto Atsumi, Aoi Sato, Asuka Tsurumoto, Chisato Sakai, Yoshio Fujitani, Yasuo Terauchi, Shuichi Ito, and Jun Shirakawa. Protective effects of imeglimin and metformin combination therapy on β-cells in db/db male mice. Endocrinology. 2023 Jun 14:bqad095. doi: 10.1210/endocr/bqad095.

オンラインURL

https://doi.org/10.1210/endocr/bqad095

研究室URL

https://diabetes.imcr.gunma-u.ac.jp/

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