ゲノム科学リソース分野の堀居拓郎准教授と畑田出穂教授のグループは、熊本大学、理化学研究所、山口大学との共同研究で、父親の精子に生じた「DNA配列以外の変化」が子どもに受け継がれ、体質や病気の発症リスクに影響することを世界で初めて証明しました。
従来、子どもの特徴は親から受け継いだDNA配列のみで決まると考えられていました。しかし近年、親のストレスや病気、加齢などが精子や卵子の遺伝子機能に関わる情報を変化させ、次世代に影響する可能性が指摘されていましたが、直接的な証拠はありませんでした。
今回、研究チームはDNA配列を変えずに精子の特定領域の遺伝子機能を調節する新技術を開発し、マウスの精子でシルバー・ラッセル症候群に類似した状態を再現。その結果、この変化は受精後も子に受け継がれ、成長や体の特徴に異常が生じることを確認しました。
この成果は、精子を介した病気の次世代への影響のメカニズム解明に貢献し、将来的には精子の異常を正常化する新たな治療法開発につながることが期待されます。
・雑誌名:Nature Communications(英国)
・公開日:2025年12月25日19:00(日本時間)
・タイトル:Germline epigenome editing identifies H3K9me3 as a mediator of intergenerational DNA methylation recovery in mice
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