群馬大学・秋田大学連携グローバルCOEプログラム、生体調節シグナルの統合的研究


若手人材の育成と世界的教育研究拠点形成への大きな期待

秋田大学学術研究担当理事副学長

秋田大学と群馬大学の連携プロジェクトである「生体調節シグナルの統合的研究」がグローバルCOEプロジェクトとして採択されたというニュースが、平成19年6月に県内で報道されました。秋田大学では、“安堵の吐息”で、このすばらしいニュースを迎えました。

秋田大学は教育・研究の基本理念として『環境と共生』を掲げています。『環境と共生』には自然科学から社会科学の様々な分野の活動が含まれますが、特にバイオサイエンス分野と資源素材分野の研究は、本学の実績と伝統を基礎にした、いわば教育・研究の二大重点分野といえます。秋田大学には、教育文化学部(平成10年に教育学部が改組)、医学部、工学資源学部(平成10年に鉱山学部が改組)が関係する全学的研究支援施設として、バイオサイエンス教育・研究センター(通称BERC、平成16年設置)及びベンチャー・ビジネス・ラボラトリー(通称VBL、平成13年設置、「希少元素に着目した資源リサイクル」に特化したプロジェクトを実施中)が設置されています。このうちバイオサイエンス教育・研究センターは、ライフサイエンス研究分野の最新解析機器の提供・バイオ関連実験サービスの提供、遺伝子改変動物の作成、実験動物の管理等々を行っており、実質的なグローバルCOEをサポートする研究支援施設として重点整備を行ってきました。今回の「生体調節シグナルの統合的研究」の採択は、両大学のプロジェクトに参加されている先生方の優れた実績が高く評価されたものですが、同時に両大学の教育・研究に対する全学的かつ戦略的取り組みが高く評価された結果でもあります。

ところで、第3期科学技術基本計画のもとで、基礎研究の推進、先端的科学技術の重点化あるいは成果の社会還元等の視点から様々な新たな取り組みが求められ、その施策の一つとして既存の枠組みを超えた大学間ネットワークによる拠点形成が求められています。今回の「生体調節シグナルの統合的研究」プロジェクトは、神経系・内分泌系の優れた研究集団である群馬大学と免疫系に強い秋田大学が互いに相補的に連携し、世界的教育研究拠点形成を目指すものです。まさに新しい大学間の教育・研究の連携の試みとして、非常に高く評価されるものです。一方、教育研究の重要な使命として若手研究者の育成があります。本プロジェクトでは、両大学の教員互換、学生の相互乗り入れ、相補的な大学院講義、学位審査などのカリキュラムが予定され、次世代の人材の裾野の拡大を図る長期的拠点形成の計画も十分に練られています。両大学の若手教員あるいは学生が、5年後にどのような姿を見せるのか、プロジェクトの開始前ですが、今からの大きな楽しみです。

秋田大学と群馬大学との連携による「生体調節シグナルの統合的研究」プロジェクトが、大学間の連携を基盤にした世界的研究拠点へと飛躍し、優れた研究成果を上げて行くことを強く期待しています。