群馬大学・秋田大学連携グローバルCOEプログラム、生体調節シグナルの統合的研究


研究プロジェクト

1)研究活動の具体的な達成目標

本研究拠点計画では、生体調節シグナルの分子制御機構を軸に、世界の中でもリーダーシップを発揮できる2大学の研究者が効果的に連携することにより、これまでにない視点や手法を互いに獲得し、これによって生体調節系の分子機構を統合的に明らかにすることを目指す。具体的には、1.生体調節シグナルの産生・受容伝達機構を解明する。2.研究対象は、内分泌・代謝系、神経系、免疫系などの調節系に主力をおき,その制御システムを解明する。3.これら調節系相互の連関や、個々の調節系の枠を超えた制御機構に関する知見を集積するとともに、それらの異常にもとづく多数の疾患の発症機構を解明する。また、これらを通じて1.なによりも世界的な卓越した成果を発信する、2.国際的なネットワークを構築し国際的な共同研究を推進する、3.産学官連携による疾患の新たな治療法の開発などの応用面での実用化を図る。

2)具体的な計画

  • 生体調節系である内分泌代謝系、神経系、免疫系などに主力をおき、大学の枠を超え、調節系ごとの研究グループを組織して情報交換を行い、これら調節系におけるシグナル産生機構、受容伝達機構、作用発現機構の研究を推進する。さらにそれぞれの系に共通するがん、血管系の研究や、シグナルコンポーネントを横断的・多面的に研究するグループを作り、調節系間の制御や調節系を超えた制御に関する研究を推進する。こうして複数シグナル間の相加・相乗効果や個別のシグナル研究の統合的な研究を行う。また研究成果を相互にリアルタイムディスカッションによって定期的に公開発表し、得られた知見、解析手法、実験システム、作製した遺伝子改変疾患モデル動物等を相互に交換する。これらを最大限に利用して効率よく共同研究を深化させ、個体レベルからみた調節シグナルの意義やその異常により惹起される病態を明らかにして、世界でリーダーシップを発揮できる研究成果を発信する。
  • これらの研究をさらに進めるために、生体調節系を横断的に研究することのできる国際的な若手研究者をCOE主任研究員等として国際公募し、さらにサバティカルを利用した海外の著名な研究者や若手研究者を招聘して、研究スペース、研究費、技術員など研究推進のための支援を行うとともに大学院生あるいはポスドクレベルの若手研究者の指導に当たらせる。
  • 国際的なネットワークの構築としては、群馬大学の城所はUCLAにも研究室をもっている。また秋田大学の鈴木や佐々木はカナダのThe Campbell Family Institute for Breast Cancer Research(トロント大学)の所長やオーストリアのInstitute of Molecular Biotechnology of the Austrian Academy of Science(ウィーン大学)の所長とこれまでに数多くの共同研究を重ねており、相互の訪問講演、教員の長期留学等を行ってきている。これらを足がかりとして、さらに国際共同研究を強化する。成果発信の場として、当該研究期間の前半では調節系ごとの国際シンポジウムを、後半では本プログラムの目的である調節系横断的な成果を評価する国際シンポジウムを開催する。これらのシンポジウムでは海外の著名研究者を招聘し、事業推進担当者の成果発表に基づく外部評価も同時に依頼する。さらに諸外国への情報発信の一環として本プログラム用ホームページを英語で開設し、活動内容の詳細や最新の研究成果をリアルタイムで世界へ向けて発信する。
    さらに、群馬大学は、21世紀COEプログラムにおいてアジアの若手研究者を中心とした国際シンポジウムを毎年開催してきた実績を有している。この活動を継続発展させ、アジア諸国から積極的にポスドクを雇用して研究計画に参画させ、若手研究者に若手国際セミナーを企画運営させることなどを通じて、アジア若手研究者のための研究拠点の構築を目指す。またサマースチューデントの相互交換や大学院生の短〜中期留学を推進する。このように国際的なネットワークを強化し国際的な優れた研究教育を展開する。
  • 大学施設内における企業研究者の利用を可能とし相互に意見交換する機会を設ける。これによって大学から企業へあるいは企業から大学への情報や技術の提供を加速して産学連携を強化する。