群馬大学・秋田大学連携グローバルCOEプログラム、生体調節シグナルの統合的研究


21世紀COE (Center of Excellence, 卓越した研究拠点)から global COEへ: 最先端研究の飛躍と医療への貢献を目指して

秋田大学長 吉村 昇

高いレベルの研究と研究者教育の拠点育成の目的で、21世紀COEがスタートしたのは、2002年でした。初年度にライフサイエンス部門が審査され、28拠点が選ばれましたが、この中に秋田大学医学部の「細胞運命決定制御」プログラムも採択されました。

小規模な地方国立大学であり、医学部は創設以来30年余という浅い歴史の中で、優秀な教員・研究者の招請と育成、これまでの実績、さらに今後の将来構想等が認められたもので、大学全体としても大きな励みとなりました。21世紀COEは、2007年3月をもって終了しましたが、この間、まず専任研究者をNature等により国際公募するという試みに始まり、担当研究者によるCell,Nature,Scienceなど一流学術誌への論文発表、2004年の中間評価でAを獲得等々、国家的プロジェクトに本学は見事に応えたものと自負しています。

2007年度からは、さらにパワーアップしたグローバルCOEが開始されることが公表され、本学でもライフサイエンス部門の貴重な実績を中断することなく、一段の飛躍を目指して新プロジェクト作成に取り組みました。研究目的、内容を充実させるため、同じくライフサイエンス部門で「生体情報の受容伝達と機能発現」というテーマで優れた結果を残している群馬大学とともに、連携拠点構想を立ち上げました。これは、生体の全身的調節系の免疫(秋田大)、神経・内分泌(群馬大)のそれぞれ得意分野を伸ばしながら、総合的・共同研究を発展させようとするもので、2007年6月に採択の決定がなされました。

大学院学生や若い研究者を養成するための共通の方策や、「生体情報シグナルセンター」の共同開設などを着々と進めております。秋田大学では、バイオサイエンス教育研究センターに「生体情報シグナル研究部門」を新設して、新しい生命科学の展開に乗りだしています。ここには最先端の質量分析システムを導入し、新たに着任した教員が特色ある研究を開始しています。また、先進的な研究成果は、大学院学生や若手教員を筆頭著者としたNature誌3報、Blood誌3報、Cell誌2報をはじめ、すでに多数公表されています。両大学とも小規模な地方大学ながら、それぞれ国際的、全国的に高く評価される実績を残しつつあります。今回のグローバルCOEを契機に、先端的研究の充実と医療への貢献を一段と推進する所存です。