堀居拓郎(所属1), 森田純代(所属1), 日野信次朗(所属2), 木村美香(所属1), 日野裕子(所属2), 向後寛(所属 3), 中尾光善(所属2), 畑田出穂(所属1) 1.群馬大学生体調節研究所ゲノム科学リソース分野 2.熊本大学発生医学研究所 3.群馬大学大学院医学研究科
About
DNAメチル化は、体の中で重要な役割をしている遺伝子の発現に関わるスイッチ(エピゲノムと定義されています)の一つです。例えば、がんの増殖を抑える遺伝子のスイッチがオフになることで正常な細胞ががん細胞に変化することなど、スイッチの異常はがんや代謝疾患、免疫疾患など人間の病気に深く関係しています。これらの疾患の基礎研究や治療研究のためには、原因となる遺伝子のスイッチのみを操作し症状を再現した疾患モデル動物を作製することが重要です。しかし、これまでこのような疾患モデル動物を作製することができませんでした。
そこで、群馬大学生体調節研究所ゲノム科学リソース分野の畑田出穂教授、堀居拓郎准教授、森田純代助教らのグループは、熊本大学発生医学研究所の中尾光善教授、日野信次朗准教授及び群馬大学大学院医学研究科の向後寛講師らとの共同研究で、同グループが以前に開発したエピゲノム編集法を応用し、特定の遺伝子のみのスイッチ(DNAメチル化)を効率的にオンにすることにより、シルバーラッセル症候群の疾患モデルマウスの作製に成功しました。この新たな技術は、シルバーラッセル症候群をはじめ遺伝子のスイッチの異常により発症するがんや代謝疾患、免疫疾患などの基礎研究や治療研究への応用に、大きく広がることが期待されます。
Paper information
Successful generation of epigenetic disease model mice by targeted demethylation of the epigenome,
Takuro Horii, Sumiyo Morita, Shinjiro Hino, Mika Kimura, Yuko Hino, Hiroshi Kogo, Mitsuyoshi Nakao, Izuho Hatada*
DOI 番号:10.1186/s13059-020-01991-8