堀居拓郎、森田純代、木村美香、寺脇直美、澁谷海大、畑田出穂 (群馬大学 生体調節研究所 ゲノム科学リソース分野)
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創薬研究において創薬標的遺伝子のノックアウトマウス作製技術を用いた疾患モデル作出は必要不可欠です。特に、対象とする臓器だけで標的の遺伝子がノックアウトされる、条件付きノックアウトマウスがよく用いられます。しかし従来の技術では条件付きノックアウトマウスの作出には数年間を要しました。近年CRISPR/Casゲノム編集技術が著しく発達したことから、ノックアウトマウス作製にも応用されましたが、期待された成果はなかなか得られていませんでした。
これまでのCRISPR/Casゲノム編集技術を用いる方法は、1回で遺伝子を切断したために上手く行かなかったのですが、新方法では、2回に分けて切ることにより染色体欠失が起こらず効率よく、条件付きノックアウトマウスを作製することができるようになりました。
この新しい技術により、疾患モデル動物を用いた病態解明や創薬における標的妥当性評価などへの応用が大きく広がることが期待されます。
Paper information
Efficient generation of conditional knockout mice via sequential introduction of lox sites. Horii T, Morita S, Kimura M, Terawaki N, Shibutani M, Hatada I.
Sci Rep. 2017 Aug 11;7(1):7891. doi: 10.1038/s41598-017-08496-8. PMID: 28801621
Online URL
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28801621