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群馬大学 生体調節研究所

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体内のアミノ酸代謝がホルモン分泌を調節する

西村隆史1,*、荒川智成2、吉成祐人1 (1. 群馬大学生体調節研究所個体代謝生理学分野、2. 群馬大学医学部医学科、*: 責任著者)

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個体代謝生理学分野の西村隆史教授らの研究グループは、モデル生物であるキイロショウジョウバエを用いて、グルカゴンに似た働きを持つホルモンの分泌量が、体内のアミノ酸代謝によって調節される仕組みの一端を解明しました。

動物は、食事から得た栄養素を体内に蓄え、必要に応じて利用することで生命活動を維持しています。特に、飢餓などの栄養不足にさらされたときには、蓄えられた脂肪や糖を分解してエネルギーを作り出す必要があります。哺乳類では、このような栄養応答にインスリンやグルカゴンといった内分泌ホルモンが重要な役割を果たしています。一方、昆虫では、グルカゴンに相当する機能を持つホルモンとして、Akhが知られています。
今回、研究チームは、キイロショウジョウバエのAkhを高感度に測定する方法を新たに確立し、飢餓状態におけるAkhの分泌制御を詳しく調べました。その結果、Akhは脂肪体と呼ばれる器官に作用して、分岐鎖アミノ酸(BCAA)の分解を促進すること、さらにこのBCAA代謝がAkh自身の過剰な分泌を抑えるフィードバック機構として働くことを明らかにしました。また、Akhによって促進されるBCAA代謝は、単にアミノ酸を分解するだけではなく、抗酸化物質であるグルタチオンの合成や、飢餓時の酸化ストレスから体を守る仕組みにも関わることが分かりました。本研究成果により、ホルモン分泌、アミノ酸代謝、酸化ストレス防御が互いに連動しながら、栄養不足に適応する新たな仕組みが示されました。

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Paper information

Nishimura T, Arakawa C, and Yoshinari Y. Inter-organ metabolic feedback via BCAA catabolism regulates glucagon-like hormone secretion in Drosophila. Nat Commun. 2026 Sep 1;14(1):5328.

Online URL

https://www.nature.com/articles/s41467-026-72677-1

Lab HP

https://sites.google.com/view/nishimura-lab/

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