群馬大学・秋田大学連携グローバルCOEプログラム、生体調節シグナルの統合的研究


プログラムの概要

[拠点形成の目的]

我が国における高齢化社会の到来と生活様式の変化に伴い、生活習慣病や神経疾患などの発症機構の解明と予防・治療法の開発戦略は社会的急務である。また生命科学(ライフサイエンス)分野における難治疾患や感染症の解決に向けた分野横断的なプロジェクトの国際的重要性は「第3期科学技術基本計画」でも強く謳われている通りである。これらの社会的背景を鑑み、群馬大学21世紀COEプログラム「生体情報の受容伝達と機能発現」の成果を飛躍的に発展させるため、本プログラムでは、秋田大学との大学連携による生体調節シグナル教育研究拠点の形成を目指す。当該拠点は、内分泌系・神経系を中心とする生体制御機構の研究で成果を上げてきた群馬大学とがん・免疫系を中心に細胞運命決定を制御する生体情報の研究で成果を上げてきた秋田大学が連携し、系の枠を超えた生体調節シグナルに関する教育研究を、学長主導のもとに大学規模で一体となって展開することを特色とする。両大学は21世紀COEプログラムの中間評価では、共に「A」評価を得ており、単独でもそれぞれの分野で高い教育研究能力を有しているが、両者の効率的連携・融合により、神経系・内分泌系・免疫系という互いに連関する生体の3大調節系の教育研究を相補的かつ相乗的に展開することが可能となる。地方にあって、国際的な教育研究拠点を着実に形成しつつある両大学が連携によりスケールメリットを獲得することにより、国際的競争力をもつ、さらに強固な拠点を形成し、産生される基礎研究の成果をイノベーション創出に繋げるとともに、我が国の生命科学研究の次代を担う若手研究者を育成する。


[拠点形成計画の概要]

神経系・内分泌系・免疫系は「生体の3大調節系」として位置付けられ、互いに干渉・連関することで生体の恒常性維持に寄与している。しかし従来、これらの系を超えた統合的な生体調節に関する研究は十分に行われてこなかった。今後、生体調節系の研究をさらに深化・発展させ、疾患の発症機構の解明や予防・治療戦略に繋げるためには、系の枠を超えたシグナル伝達研究の統合的アプローチが必須である。また本計画から大きな成果を産み、かつ将来的にも国際競争力の維持・強化を図るためには、優れた研究者を当該プログラムに参画させると共に、次代の生命科学分野を担う若手研究者を育成し、自立性と活躍の機会を与えることが重要である。


それらの目的を遂行するため、群馬大学21世紀COEプログラム「生体情報の受容伝達と機能発現」において形成された研究拠点をさらに発展させ、秋田大学と連携して教育研究を展開するための組織として「調節シグナル研究連携解析ステーション」を設置する。事業担当者として、群馬大学生体調節研究所から9名、同医学系研究科から4名、秋田大学から6名の計19名、国内外から主任研究員6名、外国人著名研究者2名、ポスドク28名、これに加えて大学院生が同ステーションに所属する。ステーション内では、大学の枠を撤廃し、内分泌系、神経系、免疫系などの研究グループを組織して、事業推進担当者、主任研究員、外国人著名研究者等を配置させる。同時に、シグナルコンポーネントあるいは分野横断的領域ごとに研究ユニットを組織し、各研究グループ間、各研究ユニット間の研究活動を深めることで、調節系の枠を超えた統合的調節シグナル研究分野を切り拓く。これらの研究成果をイノベーション創出に繋げ、生体調節系の異常にもとづく疾患の病態解明と治療戦略の構築に活用する。また若手研究者(大学院生・ポスドク)の育成プログラムとして、教員互換あるいは学生を相互乗り入れにより交換することにより、相補的かつ統合的で、より専門性の高い大学院講義、研究指導、学位審査を実現する。また若手国際シンポジウムの企画・運営、サマースチューデント制度などを利用した国外共同研究施設への短期・中期的派遣、優秀な若手研究者への研究費支援、留学支援などを行いまた研究自立支援さらには教員への登用を行って、次代を担う人材の裾野の拡大を図る。これらを通じて国際的な生体調節シグナル教育研究拠点形成を目指す。