群馬大学・秋田大学連携グローバルCOEプログラム、生体調節シグナルの統合的研究


メンバー紹介

岡島 史和 氏名 岡島 史和 OKAJIMA FUMIKAZU
所属 群馬大学生体調節研究所・生体情報部門・シグナル伝達分野・教授
E-mail E-mail
ラボURL http://imcr.showa.gunma-u.ac.jp/lab/signal/index.html

研究テーマ

リゾ脂質受容体ファミリーの機能解析

リゾ脂質受容体にはスフィンゴシン1-リン酸(S1P)、リゾホスファチジン酸(LPA)などをリガンドとするEdg受容体ファミリーとスフィンゴシルホスホリルコリン(SPC)などをリガンドとするOGR1受容体ファミリーが存在する。後者のOGR1ファミリーは最近、我々を含む国内外のグループによって細胞外pH(プロトン)を感知して細胞内に情報を伝えるプロトンセンサー機能を有していることが明らかにされた。そこで、我々のグループでは(1)Edg受容体の機能解析、(2)OGR1受容体ファミリーの細胞外プロトン感知機能とその役割、(3)脂質性シグナル分子の産生、動態制御機構などを中心に解析している。


(1) Edg受容体の機能解析:
S1P、LPAの生理機能とその病態、特に、動脈硬化症、関節リューマチ、癌との関連を解析する。S1Pは血液中ではHDL、LDLなどのリポ蛋白質中に濃縮している。また、リポ蛋白が酸化されるとLPA含量が増加する。リポ蛋白質が動脈硬化症など血管病態と密接に関連していることはよく知られている。そこでリポ蛋白質の多彩な機能発現におけるS1P、LPA受容体の関与を証明する。また、S1P、LPAは炎症、癌での増加が報告されており、その病態生理学的な役割を明らかにしたい。

(2) OGR1受容体ファミリーの細胞外プロトン感知機能とその役割:
OGR1受容体ファミリーの細胞外プロトン感知機能とその情報伝達機構の解析を血管機能、炎症反応、骨代謝との関連で解析し、その生理的、病態生理学的な役割を明らかにする。現在これらの受容体ノックアウトマウスを一部作成しており、これらの受容体ファミリーの機能を個体レベルでも明らかにしたい。

(3) 脂質性シグナル分子の産生、動態制御機構:
S1PやLPAなどの脂質性シグナル分子の細胞外動態の調節機構は不明の点が多い。S1Pは細胞外ではリポ蛋白質に濃縮している。リポ蛋白質はABCトランスポーターを介して細胞内からリン脂質、コレステロールを引き抜き、アポ蛋白質とともにリポ蛋白質を形成する。このリポ蛋白質の形成と連動してS1Pが細胞外に放出されるとの仮説の実証を目指している。

これらの解析を通して得られた知見を新しい創薬研究に生かしたい。


脂質シグナル分子の産生と受容体システム


脂質性目メディエーター機能解析と創薬への応用