群馬大学・秋田大学連携グローバルCOEプログラム、生体調節シグナルの統合的研究


メンバー紹介

倉林 正彦 氏名 倉林 正彦 KURABAYASHI MASAHIKO
所属 群馬大学医学系研究科(医科学専攻)・教授
E-mail E-mail
ラボURL http://www.med.gunma-u.ac.jp/medbiosci/

研究テーマ

臓器病態内科学分野のプロジェクト概要

1.血管病研究プロジェクト
動脈硬化性疾患に対する有効な予防法や治療法を構築することは高齢化社会における焦眉の課題である。私たちは、血管細胞生物学的な視点から血管内皮細胞や血管平滑筋細胞、マクロファージなど、動脈硬化の発症、進展において重要な枠割りをもつ分子の同定と機能解析をおこなっている。 これまでに、TGFβシグナリングに重要な役割をもつ転写因子CARPやnotchシグナルによる血管平滑筋細胞の分化調節の分子メカニズムを明らかにした。また、網膜における血管新生や動脈硬化の誘導における低酸素の役割について転写因子HIF-1αやコファクター VHLを中心に研究している。さらに、ここ10年間ほどの間に、血管石灰化は骨形成に類似した能動的な現象であることが多くの研究室から報告されつつあるが、私たちはその詳細な分子メカニズムを解析している。

血管石灰化の分子メカニズム

2.心不全研究プロジェクト
最近10年間に心不全の病態解明が進み、心筋収縮、弛緩のエネルギー代謝の調節機構も分子レベルで明らかにされつつある。そして、PGC-1やPPARαなどのエネルギー代謝調節因子、 Tfamなどのミトコンドリア遺伝子の発現調節因子の役割が解明されている。しかし、ミトコンドリア遺伝子と核内遺伝子の発現調節との協調作用についてはほとんど不明である。私たちは、心筋の収縮・弛緩に関わるエネルギーの産生系と利用系の密接な制御機構を研究している。また、心筋細胞のCaz+イオンのハンドリングにおける重要な蛋白であるCaz+-ATPase遺伝子の発現を増加させる生理的な因子を探索していくつかの候補分子を見出した。現在、その生理作用を解析し、心不全の新たな治療へと繋げることを目指している。

3.特発性間質性肺炎プロジェクト
特発性間質性肺炎は予後不良の疾患である。疾患概念が多彩で、歴史的に多くの分類、診断基準が示されてきたが、依然として基本的な病理像である炎症、線維化がおこるメカニズムについては不明である。私たちは線維芽細胞の増殖、肺胞上皮細胞の傷害の分子機序を解析し、上皮間皮転換 (EMT)を見出した。現在、肺胞マクロファージの役割に注目してその詳細な分子機序を解明する研究を進めている。


組織線維化の分子メカニズム