群馬大学・秋田大学連携グローバルCOEプログラム、生体調節シグナルの統合的研究


メンバー紹介

小島 至 氏名 小島 至 KOJIMA ITARU
所属 群馬大学生体調節研究所・教授
E-mail E-mail
ラボURL http://imcr.showa.gunma-u.ac.jp/lab/cell/index.htm

研究テーマ

我々のグループでは、ホルモン、増殖因子、分化誘導因子の作用と作用機構を細胞レベルで研究している。またそれらの知見を生かして、糖尿病などの代謝疾患の病態生理を明らかにするとともに、再生医学的アプローチによる新たな治療法の確立を目指している。

現在進行中のプロジェクト

1)臓器・組織の再生と分化誘導機構の研究

a) 膵β細胞の分化誘導機構の解明と糖尿病再生医療の確立膵β細胞の分化過程を解析するモデル系を確立し、分化誘導因子の同定、その作用機構の解析などを行っている。形態学的手法により膵島の形成機構を解析している。また各種糖尿病モデル動物を用いて、再生医学的アプローチにより代謝状態の改善と発症を予防する方法を確立するための検討を行っている。とくに体性幹細胞を体外で増幅し、β細胞へと分化させた後に細胞移植を行うというアプローチで1型糖尿病を治療する方法、内在性の膵幹細胞システムを不活化させてβ細胞量を増加させる方法の確立を目指している。

b) 肝再生の調節機構の研究 肝再生を制御する因子、特に幹細胞の増殖を抑制するアクチビンの作用について研究を行なっている。とくにアクチビンCの機能と意義が未だ十分に明らかではないことから、その作用と作用機構の研究を行なっている。また肝再生の停止機構や肝重量の恒常性維持機構に関しても検討を行っている。

膵β細胞の再生機構

2)カルシウム透過性チャネルTRPVの研究

増殖因子の作用に必須なカルシウム流入を調節するチャネルとしてTRPV2を同定し、その制御機構について研究している。TRPV2はマクロファージにも発現してるが、マクロファージでは増殖因子とともに走化性ペプチドfMetLeuPheによっても調節されている。TRPV2は非刺激時にはおもに小胞体に存在するが、血清やfMetLeuPhe刺激により細胞膜へトランスローケーションする。現在そのトランスローケーションのメカニズムを検討中である。

マクロファージにおけるカルシウム透過性チャネルTRPV2の局在

3)インスリンによる糖取込み促進機構の研究

インスリンは筋肉・脂肪細胞などの標的細胞において糖の取り込みを促進し血糖を降下させる。当研究室ではこのインスリンによる糖取り込み促進作用の分子機構を解明するため、脂肪細胞を用いて研究を行っている。とくにインスリン感受性グルコーストランスポーター(GLUT4)が細胞膜へトランスロケーションする機構に関して、それに関与する細胞骨格蛋白やGTP結合蛋白などについて研究を行っている。また、こうした筋肉・脂肪細胞のインスリン感受性糖輸送が発現・維持される機構に関して、GLUT4の細胞内ターゲティングの観点から研究を行っている。

Ubc9によるインスリン感受性の増強