粘膜エコシステム制御分野の宮内栄治准教授、理化学研究所(理研)生命医科学研究センター粘膜システム研究チームの山崎和久客員主管研究員(新潟大学名誉教授)、大野博司チームディレクターらの国際共同研究グループは、歯周病[1]以外に全身的な疾患のない患者と歯周病を含む全身的な疾患のない健康な対象者の唾液、ならびにふん便中の細菌叢(そう)を網羅的に解析し、歯周病患者では唾液中の細菌叢だけでなく腸内細菌叢にも乱れが生じていることを突き止めました。また、歯周病を治療することで唾液中の細菌叢だけでなく、腸内細菌叢も変化することを明らかにしました。
本研究成果は、ヒトにおいても腸内細菌叢が病的口腔細菌叢の影響を受けることを示すとともに、歯周病治療・予防により口腔細菌の健康を維持することが全身の健康にとっても重要であることを明確に示唆しています。
[1] 歯周病
歯と歯肉の境界に付着・増殖した口腔内細菌により引き起こされ、歯肉に限局した炎症性病変である歯肉炎と、歯根膜、歯槽骨まで炎症性に破壊される歯周炎に大別される。また、細菌によらず、過大な咬合(こうごう:かみ合わせ)力により歯槽骨が破壊される咬合性外傷がある。一般的に歯周病とは歯周炎を指す。
本研究は、科学雑誌『Journal of Oral Microbiology』オンライン版(5月8日付)に掲載されました。
・雑誌名:Journal of Oral Microbiology
・公開日:2025年5月8日(オンライン)
・タイトル:Patients with periodontitis exhibit persistent dysbiosis of the gut microbiota and distinct serum metabolome
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