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群馬大学 生体調節研究所

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脂肪由来の物質がインスリンを体内でふやすことを発見

白川 純1,2,*, 富樫優2, Giorgio Basile3, 奥山朋子2, 井上亮太1,2, Megan Fernandez3,京原麻由2, Dario F. De Jesus3, 後藤希実2, Wei Zhang3, 都野貴寛1,2, 金達也4, Hui Pan3, Jonathan M Dreyfuss3, A. M. James Shapiro4, Peng Yi3, 寺内康夫2, Rohit N. Kulkarni3,*. (1. 群馬大学生体調節研究所代謝疾患医科学分野、2. 横浜市立大学医学部分子内分泌・糖尿病内科、3. ハーバード大学ジョスリン糖尿病センター、4. アルバータ大学臨床膵島研究室.*, 責任著者)

概要

今回、代謝疾患医科学分野の白川純教授らは、横浜市立大学、ハーバード大学医学部ジョスリン糖尿病センター(アメリカ)、アルバータ大学(カナダ)等との共同研究で、脂肪でつくられる物質により、体の中でインスリンをつくる膵島の膵β(ベータ)細胞を増殖させ、インスリンをふやすことを明らかにしました。
研究グループは、人工的にインスリンが効きにくくなる状態(インスリン抵抗性)をつくりだしたときに、血液中に膵β細胞の細胞分裂を促す物質が分泌されることを明らかにしました。興味深いことに、インスリンが効きにくい状態では内臓脂肪から血液中に膵β細胞を増やす物質が出ていることも見出しました。さらに、これまで膵β細胞を増殖させるために必要であると考えられていたインスリン受容体を介した経路とは別のメカニズムによって、E2F1やCENP-Aというタンパク質が膵β細胞を増殖させるために重要な役割を果たしていることを発見しました。
今回発見された、脂肪からでる物質により膵β細胞を増殖させインスリンを増やす作用は、ヒトの膵島においても認められました。本研究によって、糖尿病患者さんの体の中で、脂肪を利用して膵β細胞を再生させインスリンを作り出す新しい糖尿病の治療法開発に貢献すると思われます。

原著情報

“E2F1 transcription factor mediates a link between fat and islets to promote β-cell proliferation in response to acute insulin resistance.
” Cell Reports誌(Cell Press:米国),
公開日:2022年10月4日11時(米国東部時間)(日本時間:2022年10月5日0時)

オンラインURL

https://www.cell.com/cell-reports/fulltext/S2211-1247(22)01277-3

研究室URL

https://diabetes.imcr.gunma-u.ac.jp/

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