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群馬大学 生体調節研究所

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医療ビッグデータから抗甲状腺薬による副作用の特性を明らかに

新井正法2, 都野貴寛1, 小西裕美2, 寺内康夫2, 西山邦幸1, 井上亮太1, 白川 純1,*. (1. 群馬大学生体調節研究所代謝疾患医科学分野、2. 横浜市立大学医学部分子内分泌・糖尿病内科、* 責任著者)

概要

今回、代謝疾患医科学分野の白川純教授らは、横浜市立大学との共同研究で、日本人の医療ビッグデータを用いた不均衡解析により抗甲状腺薬の副作用プロファイルを明らかにしました。

甲状腺疾患は、日本人では、成人女性の10人に1人がかかるとされており、非常に頻度の高いことが知られています。甲状腺のホルモンが過剰になる甲状腺機能亢進症に対して、抗甲状腺薬であるチアマゾール(MMI)およびプロピルチオウラシル(PTU)が頻繁に使用されています。一方で、抗甲状腺薬は様々な副作用を引き起こすことがあるため、適切な薬剤選択が重要となります。しかし、これまでの大規模な臨床研究においても、頻度の低い副作用に関しては、薬剤毎のプロファイルは不明確な部分が残されていました。

研究グループは、医薬品医療機器総合機構(PMDA)による日本国内の医薬品副作用報告データベースであるJADER(The Japanese Adverse Drug Event Report)データベースの70万症例以上の情報と厚生労働省の保有するレセプト情報・特定健診等情報データベースであるNDB(National Database)オープンデータにおける年間1億5000万錠以上処方されている抗甲状腺薬の情報を組み合わせて、比較的頻度の低いものも含めて網羅的に解析することで、抗甲状腺薬による副作用のプロファイルを割り出しました。

本研究結果は、臨床的に頻用される抗甲状腺薬の副作用に対する注意喚起や予防策に寄与するとともに、医療ビッグデータをデジタルトランスフォーメーション(DX)によりメカニズム解明へと還元する発展的な研究への応用が期待されます。

 

プレスリリース資料はこちらをご覧になってください。

原著情報

”A disproportionality analysis of the adverse effect profiles of methimazole and propylthiouracil in patients with hyperthyroidism using the Japanese Adverse Drug Event Report Database.”
Thyroid誌(米国甲状腺学会誌)
公開日:2023年5月2日(米国)(日本時間5月3日)

オンラインURL

https://www.liebertpub.com/doi/10.1089/thy.2023.0030

研究室URL

https://diabetes.imcr.gunma-u.ac.jp/

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