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群馬大学 生体調節研究所

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中国古来抗糖尿病薬のインスリン分泌促進作用とその分子機序の解明

趙苗妙 1,2, Jing Lu 1,2, Sen Li 2, 王昊 1,2,3, Xi Cao 1,2, Qi Li 2, Ting-Ting Shi1 2, 松永耕一 3, Chen Chen 4, Huang Haixia 1, 泉哲郎 3, and 楊金奎 1,2*(1. 首都医科大学 2. 北京糖尿病研究所 3. 群馬大学生体調節研究所 遺伝生化学分野、4. クイーンズランド大学。*, 責任著者)

概要

今回、群馬大学 生体調節研究所 遺伝生化学分野の泉哲郎教授、王昊助教、松永耕一助教らの研究グループは、中国の首都医科学大学、北京糖尿病研究所、オーストラリアのクイーンズランド大学との共同研究で、中国古来のハーブ成分で糖尿病治療薬として使われているBerberineという物質の作用機序を発見しました。Berberineは、膵β細胞からのインスリン分泌を増大させることを見出しましたが、KCNH6というカリウムチャネルを欠損させると、その効果が認められなくなりました。Berberineは、KCNH6に直接結合し、チャネル閉鎖を促進することにより、ブドウ糖刺激後の膵β細胞の脱分極を延長させて、インスリン分泌を増大させます。また、Berberineのインスリン分泌促進効果は、ヒトにおいても確認されました。この首都医科学大学との共同研究は、当研究所が認定されている内分泌・代謝学共同利用・共同研究拠点からサポートされています。本研究の筆頭著者である趙苗妙さんは、2017年4月から12月まで外国人研究員として、当研究所遺伝生化学分野で膵β細胞を用いた実験を行い、今回の成果につながりました。また、責任著者である楊金奎教授は、2016年11月10-11日に当研究所で行われたシンポジウムThe 2nd IMCR Symposium on Endocrinology and Metabolism: International Frontiers in Homeostatic Regulation Researchで講演されています。

中国古来の生薬の成分であるBerberineは、KCNH6チャネルを閉鎖して、グルコース刺激後の脱分極を延長させて、インスリン分泌を増大させる。

原著情報

Zhao M-M, Lu J, Li S, Wang H, Cao X, Li Q, Shi T-T, Matsunaga K, Chen C, Huang H, Izumi T, and Yang J-K (2021). Berberine is an insulin secretagogue targeting the KCNH6 potassium channel. Nat. Commun. 2021 Sep 23;12(1):5616. (doi: 10.1038/s41467-021-25952-2)

オンラインURL

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34556670/

研究室URL

http://molend.showa.gunma-u.ac.jp/

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