佐藤隆史 （群馬大学 生体調節研究所 核内情報制御分野） 岩野智彦、國井政孝、原田玲子、原田彰宏 （大阪大学大学院 医学研究科） 松田信爾、柚崎通介 （慶應義塾大学 医学部） 水口留美子、吉原良浩 （理化学研究所 脳科学総合研究センター） Yongwook Jung （東国大学校 医学科） 萩原治夫 （帝京大学 医学部医学科）
概要
細胞内極性輸送と繊毛形成に必須と考えられているRab8a、Rab8bのノックアウトマウス（KO）をそれぞれ作製し解析した。Rab8aKOは小腸上皮のapical輸送の異常による栄養吸収不全により生後5週で死亡するのに対しRab8bKOは、著明な異常のなく正常であった。そこで、両者のダブルKO（DKO）マウスを作製し、2分子の代償機能を検討した結果、Rab8aKOで見られたapical輸送の異常が早期に現われ、生後3週で死亡した。一方、繊毛形成には異常は見られなかったが、さらにRab10をノックダウンした細胞で異常が確認できた。これらの結果から、極性輸送においてはRab8aと Rab8bが相互にその機能を代償しており、繊毛形成においてはRab8a、Rab8b、Rab10の3者の協調的機能が重要と結論した。
原著情報
Rab8a and Rab8b are essential for several apical transport pathways but insufficient for ciliogenesis.
Sato T, Iwano T, Kunii M, Matsuda S, Mizuguchi R, Jung Y, Hagiwara H, Yoshihara Y, Yuzaki M, Harada R and Harada A.
Journal of Cell Science 127:422-31, 2014
